「インプラント矯正」という方法が、一つの選択肢として考えられます。一般に、歯科でインプラントといえば、歯の欠損部分にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人口の歯をつくる治療です。最近では、このインプラントが矯正治療にも使われるようになり、通常のインプラント以外にもマイクロインプラント、スマップ、K-1システムなど、さまざまなタイプの矯正用インプラント(スクリューやプレート)が開発されています。

 

従来のワイヤーだけを使ったスタンダードな矯正の場合は、ワイヤーでつながった歯と歯がお互いに引っ張り合う力によって歯を動かします。ところが、お互いの歯が移動してしまうので引っ張る力が安定しません。

 

それに対してインプラント矯正は、矯正用インプラントをあごの骨に埋め込み、そこを支点にして歯を移動させます。支点が固定されているので、従来の方法では考えられないほど十分な歯のコントロールが可能です。矯正用インプラントはチタンでできています。チタンはもっとも人間の体になじみやすく、骨と結合する性質があるので、あごの骨と結合するために安定した力で歯を移動させることが可能なのです。そのため、インプラント矯正では一般に、ワイヤーだけを使った矯正に比べて矯正期間を約半分にショートカットできます。

 

矯正用インプラントを埋め込むためには手術が必要ですが、簡単な手術で埋めるインプラントの本数にもよりますが、10分前後で終わります。局部麻酔を使うので、痛みはありません。歯の移動が終われば、矯正用インプラントは取り外します。

 

インプラント矯正により、これまでなら抜歯が必要だったケースでも、歯を抜かずに矯正できる可能性が増えましたし、下あごを切る必要のあった人でも手術しないで治せるようになりました。通常、骨がしっかりする16歳以降がインプラント矯正の適応です。費用は一般に一本あたり数万~8万円程度です。

 

 

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