お口の中の水分補給について

口臭を改善するために必要な水分補給の極意

適度な水分補給により、口腔の乾燥を防ぎ且つ、唾液分泌の促進を図ることができます。

摂取量の目安は1.2リットル/日(下痢するようなら減らすこと)
時間を決めて、まとめて飲む
食事や喉が渇いた時以外にも飲む

以上がポイントとなります。

朝、起床後の歯磨きの後で、まず300cc(コップ1杯)を飲むのがお勧めです。これによって唾液分泌が促進され、朝食をスムーズに摂ることができます。※朝食は必須です。

その後は、食間(空腹時)に飲みます。水分補給に適した飲み物としては、水か、砂糖・炭酸を含まないスポーツドリンクがお勧めです。お茶やウーロン茶は、唾液の分泌を抑えるので不適切です。
※食後の口臭を緩和する働きがありますが、飲み過ぎはNGです。

コーヒーは、飲むと口腔内のpHが著しく低下して酸性に傾き、またその成分が舌苔にも付着しやすいため、口臭の原因となるので避けた方が良いです。特に、空腹時のお茶とコーヒーは、口臭を強くしますので控えて下さい。

このような形での水分補給の効果は

唾液原料になる
自律神経系の調整
腸管活動の活発化
水分代謝の促進
外分泌促進効果による唾液分泌促進効果
解毒

など。

「口臭のためにお茶しか飲みません!」など、飲み物について誤解されている方も少なくないので、要注意です。
お気軽に当院、院長にご相談下さい。

口を開けると、正常な場合は次のように見えます。
喉の奥の両脇には、赤くマーキングした、口蓋扁桃(扁桃腺)と呼ばれる器官があり、鼻の穴や口で呼吸したりした時に進入してくる細菌やウィルスに対して感染防御を行う器官があります。 

緊張時の対策

緊張と口臭

細菌やウィルスに対しては、鼻呼吸や会話における口呼吸などによって常に暴露されており、厳密には、常にここで感染防御が行われています。この口蓋扁桃は小さなくぼみで覆われており、よく見ると小さな点々が見えます。ここから、粘液のような免疫物質を常に出して感染防御を行っています。
そしてその結果として、白色から茶褐色のネバネバとした免疫副産物ができて痰(場所・形態により膿栓と呼ばれたりする)のように絡みます。

これ自体をもし取り出せば悪臭がします。この免疫副産物は通常、唾液の働きや舌の運動によって胃に運ばれるのですが、発咳によって反射的に外部に吐き出されることがあります。この扁桃細胞は、口蓋扁桃の他にもこの付近の舌の奥の部分にもたくさんあります(舌扁桃)。舌の一番奥の、食道へ連絡する境界線あたりにはぎっしりとあります。
また、その他にも、喉の周囲には喉を取り囲むようにして、同様の器官や細胞がひしめき合っています。 口蓋扁桃が病的に肥大している場合や、常に口呼吸習慣のある人では、この扁桃細胞をはじめとする免疫器官や細胞群は乾燥に非常に弱く反応が過敏になってしまい、ちょっとしたことで反応するようになり、常にこの付近に免疫副産物を作り出すことになります(アレルギー状態・過敏状態)。

また、口の中の緊張状態が続くと、喉の奥はいつも嫌気的になり口蓋扁桃や舌の付け根周辺の扁桃細胞のあるところには悪臭がどんどんたまるようになり、しゃべると非常に悪臭を放つようになります。
また、緊張した状態では、舌の動きも悪く口の中にもスペースがないので、このような膿栓をはじめとする免疫副産物がたまると、自分でも気持ちが悪いし、他臭に発展しなくても自分的にはいつも臭うようになります。 臭いを出さないようにしようとして、口を閉じれば閉じるほど、臭気は口の中にたまる一方で喋りはじめは、ものすごい臭いが口臭となって出てきます。鼻息からももれることがあります。
その後どんどん喋って、舌を使うようになり唾液の分泌が促進するにつれてこの悪臭は弱くなっていきます。やがて、舌が回り、溜まっていた臭気も排気され、唾液もたくさん出て安静状態が維持されるようになると、この口臭はほとんど判らなくなります。

緊張してしまう人は、この緊張状態の口を持続してしまい、舌の動きが非常に悪くなり自浄性も悪くなって、更に、口臭の原因になってしまう舌苔もべっとりついてきます。

まとめ&アドバイス

更に悪いことに、舌苔を歯ブラシなどでゴシゴシ取って、その場しのぎの口臭抑制習慣のある人は、舌の表面が常に過敏になっていき、益々状況は悪化していき、もはや舌苔は常に分厚くついてくることになり、舌苔除去をやればやるほど、手に負えなくなります。

舌苔を取れば取るほどあり地獄のような状態になっていきます。このような、喉の奥の膿栓やネバネバした状態による不快がおきたり、悪臭がする時は、舌苔などを取らずに、一刻も早く口の中の緊張を緩和して、自ら常に下の図のような安静状態を維持できるようにしながら、舌をよく動かし、新鮮な自浄性に富む唾液を確保する練習をするべきです。
そうして、喉の奥の免疫器官の乾燥をできる限り避け、嫌気的状態が起こらないようにすることが根本的な解決です。ただ、精神的に緊張してしまう人は、この簡単なことができません。どうしても、前述の緊張した状態の口になってしまい悪循環を繰り返します。

舌苔は取らないほうがよい(永遠に解決はしない、あくまでもその場しのぎのため)。
口の中の緊張を解き、舌をよく動かし、新鮮唾液を出し続ける努力。
膿栓を取る人は、さらに悪化させる(免疫組織はデリケートで傷つきやすく過敏になる。また、取り除いても過敏がある限りいたちごっこである)。
扁桃腺肥大や、耳鼻科的アレルギーのある人は耳鼻科に相談して耳鼻科的対応も行うこと(最優先事項)。
精神的緊張は、不安を感じるだけで状況を悪化させる。
どうしてもこの免疫副産物を取り除きたい時は、喉の奥を立てたうがいをし、取り出すとよい。
その場合、うがい薬として殺菌性を持つものならさらに効果は高い。
常習的口呼吸は、状況を悪化させる。
しゃべる時はハキハキしゃべったほうが有利、ボソボソしゃべると悪臭になる。
ガム口臭抑制法はこの症状を緩和する。また、訓練にもなる。

舌の汚れ

舌の上にある白さ

舌の上にある白さは、その人の状態によって個人差があります。ただ、口臭ガスの発生源になることは事実です。通常舌の奥にはリンパ細胞が多くあるので、その人の体調、環境の状態、喫煙習慣の有無などに応じて程度は異なります。

次のような場合はひどくなります。

病的な場合(病的口臭に結びつくことが多い)白く分厚い、おおむね舌表面粘膜はまったく見えなくなる。表面は粘稠性を帯びていることが多い。

1.慢性的な耳鼻科的問題を抱えている人
2.ひどい口腔内疾患や消化器疾患のある人
3.病的舌苔のある人

病的ではないが、慢性的素因や習慣要因によるもの。白さの程度の差はあるがAほどひどくはない。

1.粘膜が過敏な人(アレルギー素因)を持つ人。
2.ヘビースモーカーなど、喫煙常習者
3.口呼吸習慣のある人
4.口腔内乾燥のある人
5.口腔衛生状態の悪い人

Aに該当する場合は、本人はそれほど感じないですが他人は常に不快な口臭を感じることが多くなります。
Bに該当する場合は、ちょっとした精神不安を抱えて口腔内の安静時唾液流が不足したり口腔内に緊張状態が起こるたびに口臭を自覚したり口中の不快を感じると同時に、自分で『はー』とすると強く感じることが多く、状況によっては、他人が不快感を持つ生理的口臭が起こりやすくなるでしょう。さらに誰にでも起こる、他人を不快にする生理的口臭の発現頻度は高くなります。

Aについては、疾患が原因なので歯科・耳鼻科・内科などを受診して治療をすれば完治します。
Bの場合は、口臭患者の多いパターンで、各科的には器質的病変を認めないので「問題ない」「生理的範囲」という診断を受けやすく治療対象にはなりません。

Bを解決することは複雑で、精神的安定、口腔内緊張緩和、口腔内乾燥を引き起こす要因のすべてを除去する、また、関与する生活習慣的要因の除去など、遠因となっている要因や近因となっている要因などを段階的に除去することが必要になりますが、精神的要因が深く関与するために、心療内科医などの協力が必要なこともあります。

ストレスと口臭

そのような状況になるのは、舌の奥の機能が麻痺し不自然だから起こる(通常子供では起こらない問題)のですが、これは舌自体の働きが自律神経に支配されていて、その人の精神状態やストレスに強く影響を受けるからです。

よほど学習し意識的に訓練しない限りは、自分自身でのコントロールが難しいのです。普段から大きな声で喋るとか、しっかり咀嚼するとか、舌の奥の筋肉も機能させていくことが大切です。 赤ちゃんのように大きな声で笑ったり、泣いたり、ひたすら舌を動かし続ければ、自動的に解決することなのですが・・精神活動が繊細な人はどうしてもストレスに弱く、本来の動物的機能が低下すると、このような問題を抱えるのだと思います。

自然状態で生活しているストレスの少ない社会では、口臭の問題も起こりにくいのです。原始社会生活を営む民族では、大きな声を出すことや、歌うことなどが日常的な生活上の情報伝達手段になっていることが多いからです。当院では、喉の奥の非病的舌苔を除去するために、大きな声を出して行う発声練習を治療メニューに加えることがあります。

通常、色々な機能訓練を組み合わせると短期間で健康な状態になります。悩みを持たない、きれいな健康的な舌を持つ小さな子どもたちが、どのように口腔機能を使っているかをよく観察して自分自身と比較してみるといいと思います。