歯の矯正が必要な理由は、一つにはもちろん見栄えの問題です。歯並びによって顔の印象が悪くなれば、当然その人の性格も左右されます。外見上のコンプレックスで悩んでいた人が、歯を矯正することで明るさと自信を取り戻せるケースはよくあります。

 

正しい嚙み合わせというのは、上下の歯並びに凸凹がなく、すべての歯が正しく嚙み合った状態です。前歯できちんと食べ物を噛み切ることができ、奥歯は食べ物を細かくすりつぶすことができます。よい嚙み合わせは、口の中を健康に保つための最低条件です。

 

矯正治療の目的は、単に見た目をよくするためだけではありません。嚙み合わせの悪い状態(不正咬合)には、ほかにもたくさんの弊害があるのです。最近、メディアなどでも嚙み合わせと姿勢や全身状態との関係がよく取り上げられるようになりました。

 

まず、歯並びや嚙み合わせが悪いと、虫歯や歯周病になりやすいという問題があります。歯並びが悪いと歯ブラシで届かない部分が出てくるので、虫歯になりやすい傾向がありますし、磨きにくい部分にプラークがたまって、歯周病が引き起こされます。

 

また、歯並びが悪いと歯の圧力が均等でないため、あごの関節の負担が大きくなり、顎関節症を起こしやすくなります。見た目にはよい歯並びでも嚙み合わせが悪いと、肩こり、頭痛、腰痛などの原因になることもあります。また、嚙む力が弱くなって胃腸障害を起こし、栄養状態が悪くなったり、肥満の原因になることもあります。いびきや歯ぎしりとも無関係ではありませんし、「サ行」や「タ行」などの発音が不明瞭になるなど、舌足らずな話し方も嚙み合わせの悪さから起こる場合があります。嚙み合わせと舌小帯の異常を治療することで、発音が改善するケースも多くあります。ほかにも、疲れやすくなる、イライラしやすい、集中力がなくなり、学業などに悪影響を及ぼすなど、よいことは一つもありません。

 

アメリカでは歯並びは身だしなみの一つと考えられており、歯列矯正は日常的になっています。矯正治療経験が一種の社会的ステイタスでもあり、進学や就職などにも影響します。日本も今後、そういった傾向が強くなっていくのではないかと思います。

 

 

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