歯は、力が加わるとその方向に移動する性質があります。歯列矯正はその性質を利用して「マルチブラケット」(歯に当てる小さな金具)と呼ばれる矯正装置とワイヤーを使って、歯に一定の力をかけ続けることで、悪い歯並びや噛みあわせを治す治療法です。あごが前後左右にずれている場合は、あごのずれも治すことができます。歯が大きすぎる、小さすぎる、上下のあごの位置がずれているといった歯並びの悪い状態を、専門用語で「不正咬合」といいます。

 

矯正したほうが望ましい不正咬合は上顎前突(出っ歯)、下顎前突あるいは反対咬合(受け口)、叢生(乱ぐい歯、八重歯)、開咬(口を閉じて奥歯を噛んでも前歯がかみ合わず開いている)などです。

 

お子さんの矯正治療を考える時期は、歯の生え変わりが一つの目安です。不正咬合の原因の一つに、この時期のトラブルがあるからです。乳歯と永久歯が生え変わるときに虫歯になった乳歯を放置したりしていると、永久歯は自分の生える場所を確保できません。そのために位置や方向を変えて生えてしまうので、歯並びが悪くなるわけです。

 

具体的には混合歯列期(前歯が永久歯に生え変わる時期)、小学校の低学年から中学年の時期をメドにしましょう。最初のチャンスは永久歯が生えてくる6歳から7歳頃です。この時期に検査して、8歳から10歳頃までに矯正治療を行うと、それ以降の治療が必要なくなることもあります。次に適しているのは10~12歳頃、つまり永久歯が生えそろう前です。あごを広げたり、前に出してバランスを整えるのに適した時期なのです。ただし、不正咬合の原因によって、矯正治療を始めるのに適した時期は異なります。

 

矯正治療は早ければ乳歯列完成期である3歳ごろから始めることもできます。とくに、あごの骨の形や大きさのアンバランスが不正咬合の原因になっている場合や、歯が不適切な位置にあるために、あごの成長が邪魔される可能性があるときは、低年齢から矯正治療を始めることがあります。

 

 

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