歯周病は歯の生活習慣病であり、老化とも考えられます。もしも歯周病が薬で治るとしたら、こんなに素晴らしいことはありません。
歯周病菌を薬で退治する方法として最近注目されているのが、3DS(デンタル・ドラッグ・デリバリー・システム=歯科薬剤到達システム)と呼ばれる治療法です。
歯周病菌にはさまざまな種類がありますが、なかでも最も悪さをする悪玉菌が4種類だといわれています。その4種類が口の中の総細菌数のそれぞれ0.1~0.2%のレベルなら、歯周病を発症しないという研究が報告されています。そうした健康レベルの細菌数に落とすことを目的に行う治療が3DSです。
手順は次のとおりです。
まず、歯型を取ります。その歯形に合わせた樹脂製のマウスピース(ドラッグ・リテーナと呼ばれます)をつくります。その内側に薬を塗って、1日5分間、歯にかぶせて除菌パックをします。マウスピースをはずしてうがいをします。これを一週間続けると、8割方の患者さんで歯周病菌が健康レベルにまで低下し、歯の腫れや出血が治まります。
3DSは本来、PMTCなどの基本的な歯周病治療が終わった後に行う治療です。歯周病治療が終わったら唾液検査をして、歯周病菌の数が健康レベルに達していない場合に3DSが行われます。つまり、唾液検査によって歯周病のリスクを判定し、その人にあった薬剤で化学的に歯周病の進行を防ぐ方法だといえるでしょう。