「かぶせた歯なのになぜ痛くなるんですか」という質問もよく受けます。

 

まず一つは、詰め物やかぶせ物は補修にすぎないので、少しずつガタがくるということがあります。時間がたつと、とくに詰め物やかぶせ物と歯の間のすき間にトラブルが起こります。詰め物やかぶせ物と歯が完全にぴったり適合している状態が理想ですが、現在の歯科技工技術ではなかなか難しく、どうしても小さなすき間ができてしまいます。虫歯の原因菌はわずか数十ミクロンのすき間があれば侵入し、菌が増殖すれば虫歯は再発します。これを二次ウ蝕といいます。また、歯の神経を取っていても、根の先に問題が起こって腫れたり膿んだりすれば痛くなることがあります。

 

かぶせた歯がまた虫歯になったというケースで意外に多いのは、根の処置が不完全だった場合です。

 

例えば、歯の神経が完全に取りきれていなくて、取り残した神経が原因で痛みが出ることがあります。また、根の先まで薬がしっかり充填されていなくて、細菌に感染して炎症を起こして痛むこともあります。さらに、歯肉、歯根膜、歯槽骨などに細菌が感染すれば歯周病になってしまい、歯茎が腫れぼったくて痛いといった症状を起こすこともあります。

 

根管の中に残った菌は何年も生き続けて、根の先で増殖し、歯の中から骨を破壊し始めます。こうして、神経を抜いたのに歯が痛んだり、何年もたってから神経を抜いた歯の歯茎から膿が出たりといった症状が起こってきます。そして、結局は歯を抜かなくてはならなくなることもあります。