歯周病とは?
歯周病(ししゅうびょう)とは、歯を支えている歯ぐき(歯肉)や骨が、細菌によって炎症を起こしてしまう病気です。
最初は「歯ぐきが赤くはれる」「歯みがきの時に血が出る」などの症状が出ますが、痛みがほとんどないため、自分では気づきにくいのが特徴です。
放っておくと、歯を支える骨が溶けてしまい、最終的には歯が抜けてしまうこともあります。

PDT光線力学療法とは?
PDTとは、Photo Dynamic Therapy(フォトダイナミックセラピー)の略で、日本語では光線力学療法と訳されます。これは、今までに無かった全く新しい歯周病治療です。
少々難しい説明となりますが、基本的なシステムは以下のようになります。

光線力学療法(Photodynamic Therapy)は、まず生体内に光感受性物質(光増感剤)を注入し、標的となる生体組織にある波長の光を照射することで光感受性物質から活性酸素を生じさせます。これによって癌や感染症などの病巣を治療する術式を指します。
歯科の、歯周治療における光線力学療法(PDT) は、光によって活性化する薬品(光活性剤)を歯周病ポケット内部に注入し、そこに光を照射することによって、この薬品(バイオジェル)を活性化して除菌を行ないます。
PDT治療だけを行なう際には、麻酔を行なう必要ありません。また歯1本あたりにかかる所用時間も、約1分程となります。
ただ、PDT治療は一般的に単独で行なう治療法ではなく、ルートプレーニング(SRP)と併用することでさらに効果があがる補助的な治療法といえます。

PDT光線力学療法のメリット・デメリット
PDT光線力学療法のメリット
- 治療に痛みがない
- 短時間で済む(歯1本あたり約1分ほど)
- 薬を服用できない方(妊婦さんなど)でも使用できる
- 耐性菌が発生しない
- 内服がないので、副作用が起こりにくい
- 繰り返し処置することできる
PDT光線力学療法のデメリット
- 保険が適用されない
- 無カタラーゼ症の方(体内中のカタラーゼが不足し、過酸化水素が分解できなくなる病気)は治療できない
- 光感受性発作のある方(視覚に飛び込んだ光刺激に対する異常反応を指します)は治療できない

PDT光線力学療法の流れ
STEP1:歯周ポケット内部にバイオジェル(光活性剤)を入れる
治療を行なうポケット内に薬剤(バイオジェル)を注入します。
バイオジェルは「光感受性物質」と呼ばれ、光を吸着することによって化学反応が起こり、活性酸素を発生させる効果を持ちます。簡単にいいますと、バイオジェルは歯周病細菌と結合を起こすのです。

STEP2:歯周ポケット内部に光エネルギーを照射する
次に、光エネルギーを照射して、バイオジェルと結合した歯周病細菌を破壊します。なお、バイオジェルは、人間の身体の細胞には結合しませんので安全です。光エネルギーも関しても、光が照射される範囲は1~2ミリに限定されいるので、有効範囲は限定的となっています。


PDT光線力学療法の特徴
その他の歯周病治療と併用が有効
歯周病の治療と併用して行なうことでさらに効果を発揮します。
PDT治療以前に、歯周ポケット内部の感染物質を、超音波スケーラーなどでクリーニングしてから行なったほうがより効果的です。
再発しやすい歯周病には有効
歯周病は歯周病細菌よる感染症ですので、もともと歯周病細菌が多い方は再発率が高くなる病気です。
一定期間をおいて、また歯周病の兆候が見えた時、再度治療を行なうことが可能です。
定期検査で使用すると効果的
PDT治療を行なうことによって、一定期間内は、歯周病細菌の再発を抑えられます。
つまり、定期検査時に歯周ポケットの再発した部位のみ再度治療することによって、維持安定を得られます。
インプラント周囲炎にも適用できます
埋入したインプラント自体は虫歯になることはありませんが、歯周病と近しい症状には陥ります。
この症状を『インプラント周囲炎』と呼びます。インプラント周囲炎は、インプラントが抜け落ちる原因として最も多い病気です。その予防にもPDT治療は効果的なのです。
歯ぐきが腫れている(様な気がする)

歯の周囲の歯ぐきが腫れている(様な気がする)
歯周病(歯槽膿漏)が原因なので、歯周病治療が必要です。
歯ぐきが腫れている状態を放っておくと将来抜歯しなければなりません。
歯周病は、下記の様に進行していき、最終的に歯が抜けてしまいます。
歯周病は、痛みを伴わないので知らぬ間に進んでいくので注意が必要です。
日本人の80%が歯周病と言われています。

症状
- 症状 1
-
日常の歯磨きで磨き残しがあるとプラーク(歯垢)が歯と歯ぐきの間に入り込み、歯ぐきが緩み始めます。
※歯周ポケットと言います。 - 症状
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歯ぐきが腫れ、より深いところにプラークが入り込みます。細菌が繁殖します。
- 症状 3
-
歯を支えている骨が溶け出して、歯がグラグラ動くようになります。
- 症状 4
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歯の土台の炎症が酷くなり、歯が抜け落ちてしまいます。

歯の根の先端部の歯ぐきが腫れている
歯周病(歯槽膿漏)が原因なので、歯周病治療が必要です。
虫歯を放っておくと神経が腐ってしまいます。
神経が腐敗すると、膿や細菌の毒素が根の先から溢れ出て、顎の骨の中で炎症が起きます。
結果、歯ぐきが腫れてきます。最もよくある原因といえます。

歯の根の治療の際に細菌が入ってしまっている状態
過去の根管治療(歯の根の治療)の際に細菌が入ってしまい、上記と同様な症状を起こすことがあります。
根管治療で神経を取る処置をした際に、どこかに細菌が入ってしまい、それが数年して炎症の原因となることがあります。

冠(差し歯・クラウン)を被せた歯の根がひび割れを起こしている状態
過去に神経を取って、冠(差し歯・クラウン)を被せた歯の根がひび割れを起こしている場合があります。
神経を取った歯は物理的に脆くなります。
金属冠を被せて補強しますが、長年の咬む力に負けて、根にヒビが入ることがあります。
そして、ヒビに細菌が取りついて炎症を起こします。結果、歯ぐきが腫れてきます。
抜歯が必要になる場合があります。
