以前から時々歯茎から出血がありましたが、最近右の奥歯が少しぐらぐらしています。
歯周病が進んでいるということでしょうか?
歯周病の最初の兆候は歯肉からの出血です。
「痛みなどは無いから大丈夫。」と、安易に考えがちですが歯ブラシで出血するのは歯肉に炎症があるからです。
歯周病は細菌の感染により引き起こされる炎症性疾患です。歯と歯茎(歯肉)のすき間(歯周ポケット)から侵入した細菌が炎症(出血)を引き起こします。進行すると歯を支えている骨(歯槽骨)が溶けて歯がぐらぐらしてきます。進行すると歯が抜け落ちてしまう恐ろしい病気ですが、それ以上に全身との関りも分かってきています。歯周病菌が産生する毒素や炎症反応物質などが、歯茎の毛細血管を通して全身に悪影響を及ぼします。特に心臓血管疾患、糖尿病、低体重児出産などのリスクが高まります。また、唾液に含まれる細菌が気管支に入ると気管支炎や誤嚥性肺炎の原因になります。
30歳以上の成人の約80%が罹患していると言われていますのでかかりつけの歯科医院で定期健診を受診されることをお勧めします。
こんにちは。今月号を担当させていただきます、遠藤奈穂です。
今月は私のお題といたしまして、ざっくりと健康について。
です。
健康寿命について、以前も触れてきた私ですが、
今月もこの話題に沿いたいので、健康寿命とは
から書いていきたいと思います。
健康寿命とは・・・介護が必要なく健康的に生活できる寿命
です。
日本人の平均寿命は
男性:81.4歳
女性:87.4歳
それに対し、健康寿命は
男性:72.7歳
女性:75.4歳
であり、その差は
男性:8.7年
女性:12.0年
なのです。
(2019年10月厚労省)
健康寿命を延ばし、いかにして平均寿命に近づけていくか、が、大きな課題です。
それには子供のころからの習慣、それが健康寿命を延ばしていくのです。
当医院は矯正歯科ですので、そこも触れて、少し豆知識を増やしていきます。
現代の子供さんは矯正が必要な歯並びの子が大変多くなってきました。
一つの原因に普段の習慣。
口だけではなく、普段からの姿勢、お口ポカンが原因の場合が多いです。
姿勢と普段からの舌の位置にも口の成長と、歯並びは関わっていきます。
(舌の位置については当医院のホームページにも出て来ますので参考になさってください。)
ということは、ストレートネック!これも原因の一つ。
ゲームだけではなく、集中する場面での姿勢。
そこも背骨に関係し、後頭部に関係し、自律神経に関係し、筋肉の状態にも関係し、歯の噛み合わせや、並びにも関係してくるのです。と言うことは、学力や、運動能力にも関係して来ますよね。
これを言いますと、極端な答えになってしまうのですが・・・。
歯並びは今や遺伝要素は少ないとされています。
親と同じ習慣を辿るから、親と同じ歯並びになるという説が現代では大きいです。
ただ、骨格の形は遺伝で似ますので、そこを触ると線引きが難しくなって来ますから、
今回は割愛させていただきます。
歯並びで健康寿命を長くする。
なんで?と思われる方ももちろんいらっしゃるでしょう。
歯並びが正常にその位置に止まるということは、
普段の舌の位置や、姿勢、習慣が正しいということ。
心身ともに健康である証拠なのです。
ぜひ、皆様にも実践していただきたく、このブログに少し触りを入れさせていただきました。
私とおしゃべりさせていただける一部の患者様には口すっぱくいつもご指導させていただいております。が、
年齢が高くなり、いろんな歯へのトラブルがあったのなら、そのトラブルを取り除いた後、ぜひ、皆様にとっての正しい姿勢や習慣を見つけてみてください。
きっとお口の中も心も晴れるはず!
我々は健康寿命を伸ばす事に関し、皆様の人生の一部に携われることに感謝し、これからの皆様の健康な生活を応援しています。
Q)丁寧に磨いているのですが、歯石があると言われました。歯石は完全に予防できないのでしょうか?
A)歯石はいきなり歯に出来ません。歯石は歯垢(細菌=プラーク)が唾液や血液の作用で石灰化して出来ます。一般に歯ブラシでの歯垢除去率は60%と言われています。歯間ブラシやフロスを使用しても80%ぐらいですので丁寧にお手入れをしても残りの20%の歯垢が歯石になります。歯垢は歯ブラシなどで除去できますが歯石は歯ブラシでは除去することは出来ません。歯石は歯科医院でスケーラーと言う機器を使わないと綺麗に除去出来ません。歯石が付着しやすい部位歯垢の残っている歯と歯肉の境目ですが、歯垢は唾液・血液の作用で石灰化しますので唾液の分泌部位がある下顎の前歯の裏側と上顎の奥歯の頬側は特に歯石が付着しやすく部位です。また、出血部位も歯石が付きやすくなります。特に歯周病の方は出血傾向が強いので健常者より歯石がつきやすく、歯周病の進行を加速させてしまします。歯石は歯周病・虫歯の原因になりますので歯周病・虫歯予防には歯石除去は必要不可欠ですので定期的に歯科医院での除石をお勧めします。
皆さんこんにちは!
3月の歯の豆知識を担当させていただきます、歯科医師の近藤です。よろしくお願いします!
少しずつ暖かくなり、新学期に向けていろいろな準備も始まる季節です。天気も良くなり外に出る際には引き続き感染対策を徹底して早くコロナが収束するようにみんなで協力していきましょう!
さて、今回のテーマは『子供たちが身に着けるべきこと』についてです。
グローバル化が進んでいる現在ですが、世界はいま様々な問題を抱えています。新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻など…人と接する際にもマスクは必要不可欠なものになりました。そういった中で、今だからこそ子供たちが身に着けるべきこととはどのようなものでしょうか。ここでは大きく3つのことをフォーカスして考えていきましょう。
一つめは『英語を勉強すること』です。
先述の通り、グローバル化が進み今後もさらに進んでいくとされている現在、直接人と会って会話することよりもズームなどのツールを用いてウェブ上でコミュニケーションをとることが多くなっていくことが予想されています。世界では現在多くの人が英語を話していることから、子供のころから英語を勉強しておいた方が良いと考えられています。
二つ目は『集団で一つのことに取り組む』ことです。
これはスポーツに限らず、共通の目標を仲間と設定して共通の方向に向かって進んでいくことで社会で活躍するための多くのことを学べるためです。自分だけでなく他のメンバーの思いを組み込んで全体のことを考えることで社会性を学ぶことができます。
そして三つ目が『歯の矯正をすること』です。
今回はこの歯の矯正が歯科と関係しているためフォーカスさせていただきました。(笑)
先述の通り、グローバル化が進む現在において、特にアメリカでは歯列矯正に対する考え方がとても高いとされています。歯列矯正は長い期間がかかったり料金もかかりますが、これは反対に歯列矯正をしている方にとっては一つのステータスととらえられています。大人になってから歯並びが気になって矯正を始めようとする方も多いですが、子供のころから矯正治療をすることは様々なメリットがあります。具体的には、
・将来的に永久歯を抜かない矯正治療ができる可能性が高くなる
・顎の成長バランスを整えることができる
・虫歯や歯周病になるリスクを軽減できる
・口呼吸などの口腔癖を治せる
等が挙げられます。
先述の通り、コロナ渦においてマスクが必須となっている現在において矯正を始めようとしている方は多くみえ、またインビザラインなどマウスピース矯正でより見た目にもわかりにくい治療法が出ています。当院では子供の矯正や大人の矯正など、患者様のニーズに合わせて様々な治療法をご希望に沿えるようにお話(矯正相談)からさせていただいています。子供の歯並びについて話が聞きたい、気になっているなどどんなことでもしっかりカウンセリングさせていただいています。また抜歯症例など、様々な症例においてもしっかりした分析から骨格的および歯性的問題をしっかり解決したうえで治療を進めていきます。お子さんだけでなくご自身の歯並びが気になる方も少しでも矯正治療にご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。
こんにちは。歯科衛生士の渡邉です。
みなさんは普段歯みがきをする時に、歯ブラシや歯磨剤にこだわりなどあったりしますか?
私は、長年同じメーカーの歯ブラシを選択しています。一度いいなと思ってしまうと、どうしても使い続けてしまいますよね!
患者様の中には、「長年この歯ブラシ・歯磨剤を使ってる」、「これじゃないとダメ」という方もみえます。現在、フッ素入り磨き粉はたくさん販売されており当医院では1000ppmを超える
歯磨き粉を取り扱っています。
今回は、その中の1つ「コンクール ジェルコートF」という商品をご紹介いたします。
☆歯面のツルツル感
研磨剤が入っていないにもかかわらず、使用後の歯面がツルッツルッになり、口腔内がスッキリ爽やかになります。ジェルコートFを使用された方で同じように感じた方は多いのではないでしょうか?このツルツル感の正体はポリリン酸ナトリウムで、汚れの原因を除去し、歯石の付着を抑制する作用があるからなのです。また、有効成分だけが歯面に長く留まるため、使用後のツルツル感が長く続くわけです。
上記は、実際にジェルタイプのほかの歯磨剤を使い、比較実験を行った写真です。
①ジェルコートF、②他社ジェル状歯磨剤。それぞれの歯磨剤を使った後12時間歯磨きを中止したところ、ジェルコートFの方が、プラーク付着が少なく、舌感による歯面のツルツル感が長く続いたという結果が出ております。ジェルコートFは歯面に長く留まる設計のため殺菌効果の持続、フッ素濃度が950ppmでありながらフッ化物の効果も十分に期待できるのではないでしょうか。
☆発泡剤・研磨剤ナシ!
歯磨剤は毎日何度もブラッシングのたびに口腔内へ使用するものなので、発砲剤であるラウリル硫酸ナトリウムが入っていないことは大きなポイントです。なぜなら、皆さんご存じのとおりラウリル硫酸ナトリウムは、多くの方が問題なく使用している一方で、アレルギーの原因になることや唾液保護成分であるムチンを破壊して口腔乾燥を引き起こす危険性が指摘され、ドライマウスの方や口腔乾燥が気になるドライマウス予備軍の方へは注意したい成分だからです。
その点、ジェルコートFには発砲剤も研磨剤も入っていないため多用な使用方法を安心してお勧めできます。手用歯ブラシはもちろん、歯間ブラシや舌ブラシ使用時には化学的な清掃効果アップと潤滑剤として、電動歯ブラシ使用時やブラッシング圧の強い方へは研磨剤の影響による歯面へのダメージを抑える目的で使用してもらい、プラスの効果として薬用成分による炎症抑制効果も狙えて一石二鳥です。
乳歯用や、成人用、現在の歯の状態に合わせてその方に合った歯磨き粉をご案内しております。
ご希望でしたら、是非お近くの歯科医院へお問い合わせ下さい。
当医院では、ご自宅での歯みがきで、どの歯ブラシ・歯磨剤・補助用具を使ったら良いか分からない、みがき方が分からない方にブラッシングのアドバイスをお伝えしております。お気軽にスタッフまでお声掛けください。
雑誌「デンタルハイジーン」2021年12月号より転載
こんにちは。歯科衛生士の渡邉です。
みなさんは普段歯みがきをする時に、歯ブラシや歯磨剤にこだわりなどあったりしますか?
私は、長年同じメーカーの歯ブラシを選択しています。一度いいなと思ってしまうと、どうしても使い続けてしまいますよね!
患者様の中には、「長年この歯ブラシ・歯磨剤を使ってる」、「これじゃないとダメ」という方もみえます。現在、フッ素入り磨き粉はたくさん販売されており当医院では1000ppmを超える
歯磨き粉を取り扱っています。
今回は、その中の1つ「コンクール ジェルコートF」という商品をご紹介いたします。
☆歯面のツルツル感
研磨剤が入っていないにもかかわらず、使用後の歯面がツルッツルッになり、口腔内がスッキリ爽やかになります。ジェルコートFを使用された方で同じように感じた方は多いのではないでしょうか?このツルツル感の正体はポリリン酸ナトリウムで、汚れの原因を除去し、歯石の付着を抑制する作用があるからなのです。また、有効成分だけが歯面に長く留まるため、使用後のツルツル感が長く続くわけです。
上記は、実際にジェルタイプのほかの歯磨剤を使い、比較実験を行った写真です。
①ジェルコートF、②他社ジェル状歯磨剤。それぞれの歯磨剤を使った後12時間歯磨きを中止したところ、ジェルコートFの方が、プラーク付着が少なく、舌感による歯面のツルツル感が長く続いたという結果が出ております。ジェルコートFは歯面に長く留まる設計のため殺菌効果の持続、フッ素濃度が950ppmでありながらフッ化物の効果も十分に期待できるのではないでしょうか。
☆発泡剤・研磨剤ナシ!
歯磨剤は毎日何度もブラッシングのたびに口腔内へ使用するものなので、発砲剤であるラウリル硫酸ナトリウムが入っていないことは大きなポイントです。なぜなら、皆さんご存じのとおりラウリル硫酸ナトリウムは、多くの方が問題なく使用している一方で、アレルギーの原因になることや唾液保護成分であるムチンを破壊して口腔乾燥を引き起こす危険性が指摘され、ドライマウスの方や口腔乾燥が気になるドライマウス予備軍の方へは注意したい成分だからです。
その点、ジェルコートFには発砲剤も研磨剤も入っていないため多用な使用方法を安心してお勧めできます。手用歯ブラシはもちろん、歯間ブラシや舌ブラシ使用時には化学的な清掃効果アップと潤滑剤として、電動歯ブラシ使用時やブラッシング圧の強い方へは研磨剤の影響による歯面へのダメージを抑える目的で使用してもらい、プラスの効果として薬用成分による炎症抑制効果も狙えて一石二鳥です。
乳歯用や、成人用、現在の歯の状態に合わせてその方に合った歯磨き粉をご案内しております。
ご希望でしたら、是非お近くの歯科医院へお問い合わせ下さい。
当医院では、ご自宅での歯みがきで、どの歯ブラシ・歯磨剤・補助用具を使ったら良いか分からない、みがき方が分からない方にブラッシングのアドバイスをお伝えしております。お気軽にスタッフまでお声掛けください。
雑誌「デンタルハイジーン」2021年12月号より転載
皆様こんにちは!今月の歯の豆知識を担当させていただきます 歯科医師の池上昂秀です。
今回の歯の豆知識では歯周病についてのお話をさせていただきたいと思います。
例年に比べ全国的に降雪量が多く、寒い日が続いていますが、
皆様いかがお過ごしでしょうか!
様々なことがあった2021年も終わり、新たに2022年がスタートしましたね!
年末年始をご家族と過ごされた方、ゆっくりとお休みを満喫された方、好きなことをされた方など、たくさんいらっしゃると思います。それから、年末年始は美味しい物を食べる機会も多いので、ついつい食べすぎてしまう方も多いのではないでしょうか。
新年、気持ちを新たに2022年も頑張っていきたいと思います。
先程、お話させていただいたように、美味しいものを美味しく食べるためにも、お口の中は健康な状態を長く保っていきたいですよね。
歯周病は、歯の周りの組織に炎症が起きてしまい、歯を支えてくれている組織が弱っていってしまう病気です。
最近では、歯周病と糖尿病、歯周病と認知症など、全身疾患との関係性が話題になって来ています。
そこで、歯周病とはどうのような病気なのか見ていきましょう。
・歯周病の主な原因
歯周病の主な原因はバイオフィルム(プラーク)と言われています。
歯石の表面はバイオフィルムを作り出す、かっこうの場所となるため、歯周病の発症・進行が促進されると言われています。
歯石により歯周組織の歯の根面への再付着が妨げられてしまうので、歯石を取り残すと歯周組織の修復が妨げられてしまうと考えられています。
・バイオフィルムの質
お口の中にどんな種類の歯周病菌がいるかによって、バイオフィルムの病原性が変わっていきます。バイオフィルムの病原性は磨き残しの量より、質(細菌種) で決まります。
それから、バイオフィルムの病原性は周囲の環境によって大きく影響を受けます。
細菌にとって、栄養環境が良くなるとバイオフィルムの病原性は上がります。
バイオフィルムが低病原性から高病原性に変化することはmicrobial shiftと呼ばれ、
歯周病の発症の原因は バイオフィルムのmicrobial shift と言われています。
・歯周病の病原菌
歯周病の病原菌はレッドコンプレックスと呼ばれる代表的な細菌だと言われています。
下記の3種類の菌がレッドコンプレックスに分類される病原菌です。
Porphyromonas gingivalis
Tannerella forsythia
Treponema denticola
・歯周病の始まり
歯と歯ぐきの間には歯周ポケットと呼ばれる隙間が存在します。その隙間に細菌が付着することでバイオフィルムが形成され、まず、歯肉炎が起きます。その状況でさらにポケットの奥深くに細菌が侵入していくことで歯周炎が起き、歯周病と呼ばる状態になっていきます。この状態になってしまうと歯を支えてくれている歯周組織に変化が起きてしまうのです。
・歯周病の予防
歯周病を予防する方法として、
毎日の歯磨きと歯科医院での定期検診、歯のお手入れが大切です。
毎日の歯磨きで、歯と歯ぐきの間のバイオフィルム(プラーク)の付着を取り除きます。
また、定期的に歯科医院で歯ぐきの検査をし、超音波スケーリングをすることで、バイオフィルムを除去することができ、歯周病の予防につながると考えられます。
・まとめ
今回は簡単ではございますが、5つの項目に分けて、お話させていただきました。歯周病の病原菌の名前を挙げさせていただきましたが、当医院ではお口の中に歯周病の病原菌がどの程度存在するかを検査することができる機械をご用意しております。ご質問などございましたら、お気軽にお声かけ下さい。
参考文献 ) 21世紀のペリオドントロジーダイジェスト クインテッセンス出版
皆さんこんにちは、今月の歯の豆知識を担当させていただきます、歯科医師の近藤恭平です。
皆さんは『歯茎がやせてきた』や『歯がしみるようになった』など気になることがありますか?
自分ではないけれど、周りのご家族や友人などから話を聞いたことがあるかもしれません。
歯がしみたり、歯茎がやせるなどの原因の一つとして歯肉退縮が挙げられますが、50歳以上で100%、小さいお子さんにも8%の方に歯肉退縮がみられるとされています。
せっかく多くの歯が残るのなら、きれいな歯肉のまま残したいですよね。
今回は歯肉退縮のメカニズムについてお話しさせていただきます。
歯肉退縮を診るときのコツ=骨を診る
骨の減り方にお大きく2パターンあります。一つはもともと骨がなかった『骨欠損』、もう一つはあった骨が減ってしまった『骨吸収』の2パターンです。
1.骨欠損
もともと骨がない骨欠損ですが、意外にも多いのです。小さい顎に大きな歯が並んでいる(歯と顎の大きさのアンバランス)、顎の骨(歯列弓)から歯がはみ出している(歯の位置異常)、歯の傾斜がきつい(傾斜異常)などが原因とされています。
2.骨吸収
もともとあった骨がなくなってしまった骨吸収の原因として、歯周病に加えて摩耗症、アブフラクション、歯列矯正による歯の移動などがあります。摩耗症は不適切なブラッシングにより生じることが多く、アブフラクションは食いしばりや歯ぎしりなどの強い咬合力が原因で、歯頚部に応力が集中して生じた歯質の欠損(くさび上欠損)を指します。
骨吸収が起こるメカニズム
骨は一度できたらずっと同じままではなく、常に新しい骨に入れ替わっています。古い骨は壊され(=骨吸収)、新たに骨が作られる(=骨形成)、これを『骨のリモデリング』といいます。骨を壊す破骨細胞が減らした分だけ骨芽細胞が骨をせっせと作る、骨吸収と骨形成のバランスが取れた状態が正常な骨のリモデリングです。
健康な歯周組織ではこの二つの細胞がちょうどよいバランスを保っていますが、歯周病になって歯周組織に炎症が起こると状況は一変します。体内の指令部隊(マクロファージやリンパ球)から骨を破壊するよう指令が破骨細胞にどんどん送られ、破骨細胞が活性化することで骨破壊のスピードが促進され、骨芽細胞がついていけずに骨が減っていきます。
歯肉退縮が起こりやすい人はどんな人?
骨が減ったために歯肉がずり下がってくる、これが歯肉退縮の本質です。患者さんがもともともっている『骨の厚み』と『歯肉の厚み』によって歯肉退縮が起こりやすいかどうかが決まります。骨の厚みはCTでわかりますが、装置がない場合には歯頚部の歯肉のラインでおおよその判断ができます。骨が厚いほど歯肉のマージンは平坦なラインになっています。歯肉の厚みの中でも特に大切なのが付着歯肉の幅です。付着歯肉の特徴は、可動性がなく硬いこと、歯肉退縮のリスクを診るときに骨と併せてこの付着歯肉の幅を診ることが大切です。
骨も厚く付着歯肉も十分にあるタイプ(Maynardの分類TypeⅠ)は、歯肉退縮はほとんど起こりません。逆に、骨も付着歯肉も少ないタイプ(Maynardの分類TypeⅣ)は歯肉退縮のリスクは非常に高くなってしまいます。このため、TypeⅣの方が矯正治療や補綴治療を受ける場合、歯肉退縮を少なくするために前もって他の部位の歯肉を移植することがあります。骨は薄いままですが、付着歯肉を厚く(Maynardの分類TypeⅢ)することで、歯科治療後の歯肉退縮を防ぐことができるからです。
雑誌「デンタルハイジーン」2021年11月号より転載
皆様、もう早いもので、師走ですね。
12月です。今年の最後の月になりました。
もう少ししたらお正月。年を越す為に、大掃除をやらなきゃ!!
先の早い話ですが、毎年、こう言う話をするとすぐに年末が来てしまい、
いつも慌てる私です。
さて、今月号の豆知識は、私、遠藤奈穂が担当させていただきます。
今月は、超高齢社会になってしまった日本について。
これからの歯科医療についてですが、もう、歯がある方がほとんどの社会になってきています。以前のようにおばあちゃん、おじいちゃんは総入れ歯という概念を打ち壊す時代に突入してきました。
ただ、体の方はそうはいきません。何らかの形で皆さま、ご病気をされて、または老化で、ご不自由になられて、ご自宅で、または、施設で療養されていらっしゃる場合がほとんどです。では、その後、口腔内をどうしようか?
となってしまわれている方がほとんどです。
お体が不自由になってしまった後は、移動することが不可能になってきてしまっていますため、口腔内がおざなりに・・・。
そして、その後、歯がボロボロに・・・。
私は訪問診療を担当させていただいており、そう言った方がほとんどと言っても過言ではありません。
それを防ぐために何をするか・・・。
まずは、口腔内がボロボロになるわけは、お体が動かなくなるからです。
大病をされたとき、またはその後に、どうしても口腔内は二の次になってしまいます。
嘘のような本当のお話です。
今の時代に近づき、何とか人工関節に置換される方、また、心臓の手術をされる方、腎臓の重い疾患の方などは口腔内の清潔さを保ってくれと、医師からも薦めていただけるようになりましたが、その他は、未だ歯と全身の繋がりを信じてくださる方がどれだけいらっしゃるか・・・。
悲しい事実ですが、現実は厳しいです。
そういった方々が、要支援、要介護がついた時に、どうして良いものか、困ってらっしゃいます。そうなると、訪問診療の分野です。
そうなる前に、まずは、重要に思ってください。
まずは、ほんの少しのストレッチが大切です!!
歯医者が何を言っている?と思われてもおかしくないのですが、骨と歯は似たもの同士なのです。同じ体ですから。
骨粗鬆症になれば、歯も脆くなります。もちろん、骨粗鬆症になる以前には、他の臓器の異常の問題もあるはず。
体は一つなのです。今まで、お仕事に家庭に頑張ってこられた体を労わる意味で、
ほんの少しのストレッチでよいのです。実は、ラジオ体操を全力で行うことほど良いものはないと思っています。
あの体操は国民一人一人が覚えてしまっているフレーズにもう皆様が既にご存知の動きを
つけるだけで、ガチガチの体がほぐれ、健康寿命が伸びますよ!!
もちろん、食生活も大切ですよー(^-^)
我々は歯科なので、口の中をクローズアップしがちですが、
そうではない、体あっての歯、歯あっての体なのです。
ですから、まだお若い時に、具体的に、介護保険をいただく以前に体のストレッチの習慣をぜひつけてください!!そして、寝たきりではなく、介助が必要な体ではなく、
どうせなら、楽しく生きませんか?そして、皆様で、日本人の健康寿命を伸ばしましょう!!(私も含め・・・)
それに共通すること!!今の若い子どもたちを見ていると、いつも思うのが姿勢の悪さ、
舌が上顎から離れている子供さんが多いです。本当は、安静時の舌は、上顎にくっついていないといけないのです。
姿勢が悪いことからの病気への移行、歯科の疾患への移行も関係をします。
若いからまだ、見せかけの健康が実現していますが、
今の子供さんたちが80歳、90歳になったらと思うと、今よりも疾患を持つ方が多くなることも目に見えて、これからの時代が怖くなります。
ぜひ、皆さま、姿勢と、軽いストレッチは心がけてくださいね(๑>◡<๑)
そして、健康な体で、時代を謳歌していきましょう!!
遠藤奈穂
遠藤院長のコラムが
中日新聞に掲載されましたのでご紹介いたします。
<質 問>
Q)もうすぐ10ヶ月になる子供がいます。歯が生え始めてきたのですが、フッ素塗布はいつから始めたらいいでしょうか?
<解答>
お子さんの初めての虫歯予防ですね。乳歯は生後6ヶ月ぐらいより下の前歯から萌出してきます。
フッ素塗布の時期としては乳歯が萌出したいつからでも可能ですが上下の前歯4本が萌出したぐらいから歯科医院に慣れる事も含めて行かれてはいかがでしょうか?
歯科医院でのフッ素は濃度が濃いため年に3回位を目安として下さい。
毎日の虫歯予防にはフッ素塗布配合の歯磨き剤をお勧めします。
現在国内で販売されている歯磨き剤のほぼ90%以上にフッ素が配合されていますが薬事法で定められている上限は1000ppmです。虫歯予防を目的でしたら高濃度配合の歯磨き剤を使われてはいかがでしょうか。
歯科医院に行く前に市町村によっては補助金制度がありますので確認しましょう。
また、フッ素塗布の時期に気になり始めるのが歯並びです。生え始めの歯は綺麗に萌出してこない事もありますが成長と共に並んできますので乳歯の間は心配ありません。