皆さんこんにちは、えんどう歯科・矯正歯科クリニック 歯科医師の池上です。
今月の歯の豆知識を担当させていただきます。よろしくお願いします。
最近、ニュースなど各メディアなどで有名人の方の口腔がんについて報道されていました。患者さまの中にも「舌にできたできものが気になる」、「このできものががんではないか心配なので診てほしい」といった主訴で来院される方もいらっしゃいます。
そこで今回の豆知識は口腔のがんについてお話したいと思います。ただ、口腔がんには病変の状態により分類がいくつかあります。そこで今回は口腔がんに移行する可能性が高い状態である「前癌病変」という状態にフォーカスしお話していきたいと思います。
まず、前癌病変とは何か。
前癌病変とは
細胞の遺伝子の変化が起き始めており、将来的に癌細胞に悪性化する可能性がある状態のことです。少し難しいように聞こえると思いますが、この前癌病変の状態がお口の中で起きていた場合、癌に移行する可能性が高いということになります。
ではその前癌病変と呼ばれるものにはどのような状態があるのかをお話していきます。
① 白板症 leukoplakia好発年齢は50〜70代の方、高齢者の方に多いとされており、好発部位は頬の粘膜、舌、歯ぐきと言われております。お口の中の粘膜に生じ、摩擦によっては除去できない白色の板状あるいは斑状の角化性の病変のことです。白板症の癌化率は約10〜20%と言われています。原因は明らかにされていないことが多いですが、タバコやアルコール、刺激性のある食品、不適合義歯や歯、などの物理的、化学的な刺激により誘発されると考えられています。
② 紅斑症 erythroplakia
きわめて稀にみられる病変ですが、発赤した紅斑としてお口の粘膜に生じる病変です。
紅斑症の癌化率は約40〜50%と言われています。原因は喫煙、アルコールが因子になることがあるらしいですが、詳細については不明とされています。好発年齢は50〜60代の方で多いとされてあり、好発部位は頬の粘膜、舌、歯ぐき、口蓋など、お口の中のどこにでもできる可能性があります。
前癌病変に関してはこの2つの病変があります。
ではもし、このような病変に似た出来物がお口の中にあり、癌なのか癌ではないのかをはっきりさせたい場合どうしたらいいのか。
そこで行うのが「生検biopsy」です。
この生検とは生体の一部を採取して検査をします。
お口の中に前述した病変が疑われるような出来物があり、悪いものかそうではないものかを診断する場合に行う方法です。病変部をお口の中から採取し、病理検査に出します。検査の結果を待ち、悪いものかそうではないものかを診断していきます。
ただ、このような生検を行う場合、通常の歯科クリニックでは対応していないことが多いのが現状です。
もし、前述したような出来物がお口の中にある方、そうではないかと疑われる方には総合病院の口腔外科へ紹介状を書かせていただき、対応させていただきます。
最後に、
これまで前癌病変について紹介をしてきましたが、このような病気が見つかることはそれほど可能性が高いわけではありません。お口の中に出来物ができて気になるという主訴で来院された患者さんの中でもほとんどの場合が良性の出来物の場合が多いです。ですので
お口の中のことで気になることがある、不安に思ってみえることがある、などお悩みのことがありましたら、当院にご来院していただき、お気軽にご相談下さい。お待ちしております。
えんどう歯科・矯正歯科クリニックは、岐阜県関市のお子様からお年寄りまで安心して通っていただける歯医者です。安心・努力・誠意をモットーに皆さまのお口の健康のサポートをさせていただいております。えんどう歯科・矯正歯科クリニックには関市周辺(関、岐阜、美濃、郡上、美濃加茂、各務原)から多くの患者様に来院していただいております。